徒然日記 その89

このシーズン、AMラジオを聴くのが好きだ。偶然かかるクリスマスソングに心を洗われる。ジョン・レノンのHappy Christmasやナット・キング・コールのThe Christmas Song、馴染みの曲や初めて聴く曲。その古びた音質が郷愁を誘い、僕は夜スタジオに向かう車の中で、一人ジーンと感動したりする。あれは何だろうね?ただモノラルだからだとか、レコード・ノイズが入っているからとか、そんな事だけじゃない気がする。レコーディングで、空気を録るという表現があって、それはマイクでその空気感を拾い、よりナチュラルな響きを得るというような意味で使われているけど、録音って殆どの場合、空気の振動を拾って電気信号に換えるわけだから、その媒体となる空気の質、例えば湿気が多いとか、その年は中国から黄砂が飛んで来て空気が重いとか、そんなことも同時に記録されているんじゃないだろうか。僕らが生まれる前の時代の事だって、遺伝子の中には昔から蓄積された情報がぎっしりと詰まっているから、音を始め何か小さなきっかけが遠い昔の記憶をふっと呼び覚ましてくれる。デジャヴとか輪廻とかもきっとそういうことなんじゃないかなぁ。クリスマスソングって、そんな大昔のことではないにしても、やはり心の琴線に触れるものがある。子供の頃を思い返してみれば、楽しい思いをした人も悲しい思い出しかない人も、クリスマスっていうのは避けて通れない大きなイベントだったはず。その年々のいろいろな思いが一気に溢れ出し、感情を揺さぶるんだろう。
そう、音には時代が詰まっているんだ。


2001年12月11日