徒然日記 その105 Confessionその2

(前回より続く)
そして今から数年前、小学校の同窓会が開かれた。何か事あるにつけあの出来事を思い出し、その度に胸を掻き毟られるような思いをしてきた僕にとっては、参加すると決めたその日からN君の出席がとても気になっていた。果たして彼は来てくれるのだろうか?

そして待ちに待った会当日、宍道湖畔の店には予想以上に大勢の面々が集まり、懐かしい話に花を咲かせていた。N君は、僕と少し離れた位置に座り、当時の親しい仲間のS君達と談笑している。僕も同窓会ならではの会話を楽しみながら、話しかけるチャンスを待ち、料理も一通り出揃って一息ついた頃を見計らい、ゆっくりとN君に近づいて行った。
「N君、あのね、実はずっと謝りたいと思ってたことがあるんだけど、覚えているかな?」
「え?」
「あれは確か小4の時だったと思うんだ。僕がI君に追いかけられてたじゃない。その時N君、僕を助けようとしてくれたよねー。」
「...?」
と、当時に起きたことを事細かく全て話し、何十年もこうして謝る時が来るのを待っていたことを伝えた。ただじっとその話を聞き、僕が「本当に御免ね。」と言った後、ようやく口を開いたN君から発せられたのは、「ええ話やー。」との一言だけだった。僕が抱え続けたトラウマのような思い込みからすれば、何ともあっけない幕切れだったが、どうやら彼の記憶の中からはもう完全に消え去っていた事件だったらしい。でもそういうものなのかもしれない。こういった事は、多分心に負い目のある者の方が後々まで引きずってしまうんだろう。でもちゃんと話が出来て、謝ることが出来て本当に良かった。あの日を境に、ほんの少しだけど心が軽くなった気がする。


2002年4月4日