先週の月曜日、秋葉原の楽器店で久し振りにギター・クリニックをやった。最近あの辺りはアニメ・ファンが集まると聞いていたが、確かに土砂降りの雨にも負けず「私を見てー」的なコスプレ・グループが闊歩していた。人には多かれ少なかれ変身願望があると思う。僕もステージ衣装に着替え...というか、ギターを弾くだけでもいつもとはガラっと違う気分になれる。常々ミュージシャンと類似点が多いなと感じる役者の世界でも「よしっ!」と意識して成りきろうとする人、反射的に全く違う人格になってしまう人の2パターンがあると思う。僕はどちらかというと反射的な方じゃないかな、なかなかこっちに戻って来れないこともちょくちょくあるような...。しかしそんな時でも、ちょっとした事がきっかけでいきなり現実に引き戻されることも。そうなってしまうと邪念が働き、次は何をしようだとか、判りきったコード進行のことを考えたりで結局はミスを犯してしまうんだよな。以前も書いたように、何も考えずに弾けるというのは本当に幸せなことだ。KISSやマリリン・マンソンの強力なメイク、あれも自分自身を非現実の世界へ連れて行く為のある意味プロフェッショナルな手段なのかもしれない。
話はちょっとそれてしまったが、クリニックはとても楽しかった。気心の知れたK君の司会にアットホームな雰囲気、自分の音もモニターからではなく、生音そのもので確認出来、とても心地良かった。K君の質問もなかなかBOWWOW通ならではものがあり、更に集まってくれた人達の質問も予想以上に高度なものが多く、みんなのギターへの造詣の深さを知って嬉しくなった。
ギター、僕にとっては今や必要不可欠な自分の体の器官の一つとなっているけれど、それが例え軽い趣味の人であったとしても、聴くことのみを楽しむ人であったとしても、理屈抜きに心と心で思いや情景を共有しあえるんだなと感じる。打ち上げの席で、ある人から「恭司さんはいつ何があったらギターを弾くのをやめようと思うんですか?」と質問された。一生懸命考えてみたが、どうしてもやめる理由をひとつとして見つけることが出来なかった。おそらくこれから、年と共に指だって動かなくなって行くかもしれない、しかしその時にしか弾き出すことの出来ない感情やフレーズがあると判っているから、それもまた将来の大きな楽しみとなる。
2003年10月19日