徒然日記 その189 松江編その二

帰郷二日目(10月1日)は、絵に描いたような秋晴れ。今日は、くいーんまりいの練習日だ。姉の車に乗せてもらい、昼過ぎに洋一さんの家へ。彼は現在、猫との二人暮らし。自身で改造を重ねたという自宅には、作品もたくさん飾ってあり、むき出しになった2階の天井の大きな梁や古時計に歴史を感じさせられる。持ってきた手のひらサイズのアンプにHRを繋ぎ、30年ぶりに二人で音を合わせ、感触を確かめ合っていると、「ピンポーン♪」と山陰放送の人が訪ねて来た。ニュースに使いたいので練習風景を撮らせて欲しいという。カメラは回り始めたが、僕らはまったく意識することもなく、演奏に没頭していた。そして約1時間が経ち小休止。その時に洋一さんが入れてくれた自慢のコーヒーは、それはそれは香ばしく美味しいもので、聞くところによると、東京に店を出すコーヒー名人にドリップ法を伝授してもらったそうだ。洋一さんが焼いたカップも、口当たりが独特で心地よく、何というかそこにもこの美味しさの秘密があるような気がした。高校生の頃も練習の合間に玉露茶を入れてくれたのを思い出す。あの時もお茶の入れ方を丁寧に解説してくれた。そんな薀蓄を聞くと、細かいところまで味を確かめようとする気持ちが働くせいか、食べ物や飲み物をより深く味わうことが出来る。音楽も、完成されたものをただそのまま受け止めるのと、レコーディング現場にいて、ひとつひとつの音やテイクがどんな風に考えられ録音されたかを知った上で聴くのとでは、やはり違いがあるんじゃないかな。たまには個々の楽器に集中して、そのミュージシャンの心の動きというものを想像しながら聴くのも面白いと思うな。人間性が見えて来たり、音がより立体的に感じられるよ。
くいーんまりいというのは本当に不思議なバンドだった。編成もアコースティック、エレキギター、エレクトーンという普段あまり無いものだし、それぞれの音楽性もバラバラ、しかし3人で音を出すと、とても暖かい、なんか心に染みる音楽になっていくんだよね。今回は残念ながら薫さん抜きの二人ヴァージョンだったけど、あの頃感じた独特の雰囲気は変わることなかった。帰る間際には、ネパールに行って仕入れてきたという本場のダージリン・ティーを飲ませてもらったが、何とその旅行時(今年5月)、泊まっていたホテルにテロリスト達がなだれ込み、洋一さん達泊り客は全員中庭に集められ銃で脅され、その後ホテルが爆破されたというショッキングな話を聞いた。それって物凄い体験だよね。何はともあれ無事で良かった。
練習が終わると、僕はそこから徒歩で県民会館に向かい、明日のLIVEの為のアンプやイフェクターのプログラムを済ませ、6時過ぎに帰宅した。夜は両親や姉と一緒に宍道湖畔へ食事に出かけ、帰りには幼稚園の頃からの幼馴染がやっている店に飲みに行った。後で佐野も参加してくれて一盛り上がりした後、明日のリハのことも考え(何と朝9時過ぎからサウンドチェックだもんね)いつもより早めに帰宅の途についた。昨日に続き、今日もボリューム満点の一日だった。


2004年10月11日