昔、江東区の木場に住んでいた。下町らしいイメージそのままに近所にあるお肉屋さんとか卵屋さんとかお店の人達とはすぐに顔馴染みになり道行く人とも挨拶をする機会も多かった。美味しい鰻屋さんもあって、久しぶりに食べに行きたいなと思いながらもう10年以上経ってしまっている。
火曜日にその隣駅の東陽町にあるホテルのバーにパラグアイのラテントリオを観に行った。あの頃良く歩いた道を通ったけれど大きな建物も増え、随分と様変わりしていた。
思えば以前徒然日記にも書いたクラシックギタリストのベルタ・ロハスとの出会いをきっかけにアルパ奏者のマリアーノ・ゴンザレス、そして今回のトリオ・メロディアとパラグアイのミュージシャン達との交流が始まり、沢山の新鮮な刺激を貰っている。
ラテン・ミュージックというとマラゲーニア♪とかクックルクルーパロ~マ~♪とか僕には子供の頃紅白でアイ・ジョージが歌っているイメージがあるが、僕よりも更に上の世代に流行っていた音楽なので、真剣に向き合って聴くのは初めてのことだった。
先日の津軽三味線といい、伝統音楽とも言える音楽一筋に何十年も打ち込んできた人達の凄さというのは間近で観ると迫力の中にも人を楽しませようとする優しさが感じられ、こっちまでつい笑顔になってしまうけれど、特に南米の人達が生まれつき持っている明るさやリズムという物は、僕らには真似しようと思っても到底無理!と思わせてくれる程の違いがある。3拍子を基調にし、主にリードを受け持つ小振りのレキントギターの音、フラメンコのテクニックを取り入れたリズムギター、そして3人のハーモニーは柔らかい声のトーンとダイナミクスが素晴らしく、結局僕は全てのステージを観てしまった。終わってから許可を得てレキントギターに触らせてもらい(初体験)、調子に乗って席で弾いていたら「他のお客様もいらっしゃいますので...」と店の人に窘められてしまった!
まだまだ知らない音楽の世界は沢山ある。そして本物に触れる機会もなかなか少ない。
バーに仕事の話をしに来ていた人達にとって彼らの音楽はただの耳触りのいいBGMのひとつに過ぎなかっただろう。でも耳を澄ませそれを心で受け止めようとする時、その音楽には何百倍もの価値が生まれてくるんだと思った。そしてミュージシャン側の立場から言わせてもらうと、そういう空気を感じる時は普段の何倍も良いPlayが出来るようになるんだよね。
2010年6月10日